奇妙な長方形の銀河が見つかった。
「LEDA 074886」と名付けられたこの風変わりな天体は、地球から7000万光年離れた矮小銀河で、エリダヌス座の中にある。

長方形銀河LEDA 074886の着色画像
大半の銀河の形は3つに分類される。(天の川銀河のような)
渦状腕を持つ円盤か、ラグビーボールのような楕円体か、不規則な形の塊かだ。
しかしLEDA 074886は、はっきりとした対称性を持つ長方形をしている。
エメラルドカットの宝石に似た形だ。
オーストラリア、スインバン大学の天文学准教授アリスター・グレアム(Alister Graham)氏は、別のプロジェクトのためにハワイにあるすばる望遠鏡で撮影した写真の中に、同僚と共にこの奇妙な銀河を発見した。
グレアム氏は初めてこの長方形を目にしたときのことを、「何かの間違いかと思った。思わず微笑んでしまった」と振り返る。
■実際には円筒形か?
エメラルドカットの矮小銀河は、より大きな楕円銀河「NGC 1407」の縁に見つかった。
この矮小銀河は暗く、含まれる星の数は銀河系の50分の1しかない。
そのせいで、これまでずっと気づかれずにいた。
グレアム氏らは、この銀河は実際には短い円筒形で「CDを何十枚も収めるケースのような」形をしており、それをたまたま横から見ていると考えている。
この銀河は、軸の方向が異なる2つの渦巻銀河が合体して形成された可能性がある。
研究チームでは、2つの銀河が衝突したとき、それぞれの長軸がLEDA 074886の「対角」を形成したと推測している。
■ハイブリッド型の銀河合体
銀河については、合体を繰り返して成長するという説が広く認められている。
たいていは、大きな銀河が随伴する小さな銀河を飲み込む形になる。実際、銀河系にも最近近くの矮小銀河を1つ取り込んだ形跡がある。
しかし、発見された長方形銀河は、これまでにわかっている2つのタイプの銀河合体の特徴を両方示しており、ハイブリッド型と言える。
楕円銀河は、新しい星を作る物質が全体に少ない。
そのため、コンピューター・シミュレーションをしてみると、2つの楕円銀河が合体した場合、ここまで極端ではないにせよ同じような長方形で、星形成活動がほとんど見られない銀河になる。
これに対して、星を形成するガスを豊富に含む銀河で同じようにシミュレーションすると、合体後に長方形にならず、あらためて星形成が始まる。
しかしLEDA 074886は、すばる望遠鏡の写真から、幾何学的な輪郭を持ち、かつ、星を形成する円盤が内側に存在することがわかっている。
そのため、この不思議な矮小銀河を利用すれば、もっと複雑なタイプの銀河合体をモデル化できるかもしれない。
論文の共著者でチューリッヒ大学の理論物理学者ベン・ムーア(Ben Moore)氏はすでに、スーパーコンピューターを使って今年中にLEDA 071886の形成をモデル化する計画を立てている。
こうしたシミュレーションは、この銀河が今後どのくらい長方形を維持するかといった問題を解決するのに役立つとグレアム氏は話す。
宇宙ではダイヤモンドも永遠ではない。
LEDA 174886は、完全に条件を満たす別の銀河と合体しない限り、10億年後にはこのようはっきりとした角を失ってしまうかもしれない。
エメラルドカットの銀河についての論文は、科学サイト「arXiv.org」に3月16日に掲載された。
「Astrophysical Journal」にも掲載される予定だ。
(毎日jp)
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