娘の遺志 被災児支援に奔走
学校の図書コーナー新設や震災遺児の夏のキャンプ費援助、避難所への果物の提供…。
日本をこよなく愛した娘の遺志を胸に、日米の懸け橋づくりを夢見ている。
■基金創設、12万ドルを集める
「被災した子供たちの面倒を見ているのだろう」。
約4カ月前のあの日、バージニア州で不動産業を営む父アンディさん(53)と母ジーンさん(同)は連絡が取れない娘の無事を祈った。
無情の知らせが届いたのは3月21日。
その日、遺体との対面のため日本に向かう際にアンディさんらは支援基金の創設を思い付く。
「娘が生きていたら必ず現地でみんなを助けていた」と確信したからだ。
テーラーさんの母校の協力を得て、1週間で立ち上がった記念基金には今も寄付が絶えず、7月1日時点で約12万3000ドル(約1000万円)が集まった。
基金を活用した図書コーナーづくりはテーラーさんが本好きだったことから出たアイデア。
教壇に立った石巻市の小中学校で計画され、今夏には第1号が始動する計画だ。
震災遺児の支援は同県気仙沼市で活動する非営利団体を通じて実施している。
■日本にほれて英語教諭に
テーラーさんは小学校時代の日本語の選択授業をきっかけに日本文化にほれ込んだ。
2008(平成20)年に来日。
休日には浴衣を着て各地の祭りに参加、日本の児童とハロウィーンの仮装も楽しんだ。
震災当日は小学校で児童に寄り添い、保護者の迎えを確認したところで自宅に自転車で向かい、消息を絶った。
8月には帰国して長年の恋人と結婚する予定だった。
「日米の懸け橋をつくりたい」とアンディさんとジーンさん。
「将来は石巻の子供を米国に招きたい」と語る。
だが、ジーンさんは今でもテーラーさんがひょっこり帰宅するのではないかと思うことがある。
遺品の整理は進まない。
「でも娘は(震災前日の)3月10日を、私が笑った最後の日にしたくないはず」。
目に涙をためて笑みを浮かべた。
テーラーさんら外国青年招致事業(JETプログラム)の米国人犠牲者2人の業績をたたえ、国際交流基金(東京都)も日本語を学ぶ米国人高校生約30人を7月後半に日本に招き、研修や交流事業を計画している。
テーラーさん記念基金ホームページ
http://www.st.catherines.org/tayloranderson
(イザ!)

米バージニア州の自宅で、娘のテーラーさんの遺品を前に思い出を語るアンディさん(右)とジーンさん

昨年日本を訪れた父アンディさん(左)と母ジーンさん(中央)を、和食店に連れて行ったテーラー・アンダーソンさん

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