火星で石膏を発見、確実な水の証拠?
生命の存在に適した環境だった可能性もある。
探査車オポチュニティが探し当てたのは石膏の鉱脈で、「ホームステーク(Homestake)」と名付けられている。
石膏は硫酸カルシウムと水の反応で形成される鉱物で、液体の水がないと存在し得ない。
プロジェクトに参加しているアメリカ、コーネル大学の地質学者スティーブ・スクワイヤーズ氏は、「鉱脈の幅は親指程度で、数十センチの長さがある」と話す。
オポチュニティがこれまでに発見した水の存在を示す鉱物は、いずれも砂岩の中にあった。
岩石状に固まる砂粒が元の場所から数キロ吹き飛ばされている場合もあるので、砂岩に含まれる鉱物は完全な履歴をたどることが難しい。
「それに対し、ホームステークの鉱脈は岩盤の内部にある。石膏がこの場所で形成されたことは間違いない」とスクワイヤーズ氏は説明する。
「古代の火星で、岩盤に亀裂が入った。そこを水が流れていくうちに、石膏が沈殿していった。このプロセスに曖昧な部分は一切ない」。
同氏は、「オポチュニティが発見した液体の水の最も強力な証拠だ」と自信を持って語る。
◆新しい着陸地点のようなクレーター
2004年から活動を続けるオポチュニティは今年の8月、直径23キロの「エンデバークレーター」に到達した。
クレーターの縁には尾根状に隆起した地形があり、プロジェクトチーム内では「ヨーク岬」と呼んでいる。
ホームステークはそこで発見された。
エンデバークレーターは、オポチュニティが調査した他の地域よりも年代が古く、地質構造がかなり異なると考えられている。
プロジェクトチームは新しい成果を求めて、3年を費やしオポチュニティを導いてきた。
スクワイヤーズ氏は、「付近の岩石は古代の状態をとどめている。ヨーク岬はいわば“新しい着陸地点”で、ミッションが再び始まったような気分だ」と話す。
エンデバークレーターの縁で発見された水の証拠は、石膏の鉱脈だけではない。
プロジェクトチームの一員でアメリカのミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学のレイ・アルビドソン氏は、「火星を周回する探査機のデータから、この地域には粘土鉱物の一種“スメクタイト”の形跡が確認されている。やはり水の関与が考えられる」と述べた。
オポチュニティが発見を重ねてきた水関連の鉱物からは、強い酸性の過酷な環境が読み取れる。
「しかし、石膏が形成される場所ははるかに中性に近いので、生命環境との親和性も問題ない」とスクワイヤーズ氏は話す。
粘土鉱物も中性の環境で形成される場合が多い。
◆冬越えの準備をする火星探査車
すぐにでも続報を期待したいところだが、この地域は火星の冬に向かっており、次の春を待たなくてはならない。
太陽エネルギーで動くオポチュニティは現在、冬季用のベースキャンプに腰を据える準備を進めている。
冬の間も観測を続けるには、最低限の太陽光が必要だ。
最適な傾斜の場所が既に選出されており、太陽光パネルを理想的な角度で太陽に向けられるという。
冬季は風が収まる点も問題となる。
強い風でパネルに付いたちりやほこりが掃除されるのだが、その季節も終わってしまった。
パネルにちりが積もり、太陽の角度も低くなると、オポチュニティの電力は最大時の40%までダウンする。
ただし機能不全に陥ることはないという。
同時に活動を開始した火星探査車スピリットは、冬にバッテリーが尽きてしまい、ミッションが終了した。
しかし、砂地で身動きが取れなくなったためで、適切な場所で必要量の太陽光が得られるオポチュニティは無事に冬を越えるはずだ。
「機体のコンディションは12月7日時点で非常に良好だ。1年を通じて機嫌良く働いてくれた」と研究チームは発表している。
「90日間のミッションを前提に設計されたが、想定をはるかに超えた長寿に恵まれている。まだまだ現役を続けてくれるだろう」。
今回の研究成果は、サンフランシスコで開催中のアメリカ地球物理学連合の会合で12月7日に発表された。

NASAの火星探査車オポチュニティが撮影した、新たに発見された鉱脈。影はオポチュニティのアーム部分。
(ナショナルジオグラフィック ニュース)
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