絶滅とされた海鳥、ミズナギドリの一種-小笠原諸島で生息

小笠原諸島・父島で見つかったオガサワラヒメミズナギドリ=2005年1月
森林総合研究所(茨城県つくば市)などの研究グループが7日発表した。
絶滅とされた鳥類の再発見はアホウドリ以来60年ぶり。
チームは、小笠原での確認例が多く、本拠地とみられることから、和名「オガサワラヒメミズナギドリ」の命名を提案した。
環境省は絶滅の恐れのある野生生物のリスト「レッドリスト」へ、早ければ来年度中に加えられるよう準備を始めた。
絶滅したと考えられていたのは1963年に約4000キロ離れたミッドウェー諸島で採集されたブライアンズ・シアウォーター(英名)。

小笠原諸島の位置
全長25~30センチで、他のミズナギドリに比べ体が小さい割に尾羽が長く、足が青みがかった特徴を持つ。
小笠原では97年(母島)と05年(父島)に各1羽、06年に3羽、昨年5月に1羽がそれぞれ別の無人島で見つかった。
形態から暫定的にヒメミズナギドリとして標本で保管されていたが、昨年8月になって米国の研究者が新種のブライアンズ・シアウォーターと指摘する論文を発表。
チームが6羽をDNA鑑定した結果、全個体をブライアンズ・シアウォーターと特定した。
川上和人・森林総研主任研究員は「昨年見つかった無人島など小笠原で今でも数百羽生息しているとみられる。繁殖すると考えられる冬は海が荒れるため研究者が近づけず、発見が遅れたのではないか」と話す。
研究成果は8日(日本時間9日午前)、ハワイでの太平洋海鳥会議で発表される。
■官民一体の保護策急務
「ビッグニュースだ」--。
絶滅したと思われていた貴重な野鳥ミズナギドリの仲間が小笠原諸島(東京都)で見つかったことに、関係者は7日、喜びの声を上げた。
世界自然遺産・小笠原の価値を高める発見だが、昨年6月の遺産登録後、観光客増による環境悪化が懸念されている。
小笠原への注目が集まる中、官民一体となった保護策が急がれる。
「国内での生息は予想していなかった。非常に画期的な成果だ」。
尾崎清明・山階鳥類研究所副所長は、発見の意義を高く評価する。
今回確認された6個体という数について、「短期間にこれだけ見つかったということは、一定の数が近くで繁殖している可能性が高い。今後は繁殖地を突き止め、保護することが必要だ」と話す。
樋口広芳・東京大教授(鳥類学)は「野生生物保護はトキなど目立つ生物に目が向けられがちだが、特に目立たなかった貴重な種も注目されるきっかけになる」と受け止めた。
環境省は天敵となるクマネズミの調査や侵入防止策を強化する方針だ。
同じく絶滅の危機にあるアホウドリの繁殖に取り組んでいる長谷川博・東邦大教授は「貴重な種を本当に絶滅させないために、天敵を早急に駆除する計画を立て、実行に移さねばならない」と話す。
小笠原諸島は、東京から南に約1000キロ離れた太平洋に浮かぶ大小30余りの島々で構成される。
一度も大陸とつながったことがなく、小笠原でしか見られない固有種は、植物で36%、昆虫では27%を占める。
東京都によると、昨年4月~今年1月の観光客は前年同期に比べて1.4倍に増えた。
小笠原村総務課の柴垣佳久副参事は「世界遺産の価値を守る上で弾みがつく。保護については今後、国の関係機関と連携して検討していきたい」と語った。
(毎日jp)
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