前回の釣行記事の中で、釣れる人と釣れない人の違いのお話しをさせて頂きましたが、やはり…というか、北条湾という釣り場について1回の釣行記事で、魚を釣るための要点を全て集約してお話しするのは難しく、補足や追記的になりますが、北条湾という釣り場と他の釣り場の違いや、魚を釣るための要点を簡単にまとめさせて頂きます。
三崎港近くの単なる釣り場ではなく、良くも悪くも特殊な釣り場で、これによりビギナーの方でも釣り易いということもあれば、逆に釣りにくいこともあります。
相反する状況がそうさせているのですが、この辺をまとめさせて頂きますので、宜しければお付き合い下さい。
まずは、地形的なお話しです。
以下の写真のキャプチャー画像やGoogle Mapなどをご活用頂きご覧下さい。

①

②
Google Map
①の写真は、城ケ島や花暮れ岸壁など、北条湾周辺の主要な釣り場を含めた全体的な位置関係です。
②の写真は北条湾の詳細な地図です。
②の地図の赤丸の部分、これが釣行記事でも頻繁にお話し致します「狭塚川」という、然程大きな川ではありませんが、北条湾へ流れ込んでいる川です。
①写真やGoogle Mapなどで広範囲に他の釣り場を見て頂きますと、城ケ島を含めた三崎周辺で川が流れ込んでいる釣り場は北条湾以外にはありません。
しかも、川が湾の一番奥に流れ込んでおり、地形を活かした漁港であることや、縦に細長い湾であることがお分かり頂けると思います。
北条湾は城ヶ島大橋がある、城ケ島と本土の間の船道に面しており、船道の海域は潮の流れは比較的早いですが、北条湾の縦の長さからしますと、船道の潮の流れの影響はほぼ受けないであろうことが容易に想像出来ると思います。
そして、その縦に長い北条湾ですが、流れ込んでいる川は小さく、船道に面している北条湾の出入り口付近まで、川の流れの影響が続かないことも想像に難しくないと思います。
荒天時や盆暮れ正月などの時期は、大型の漁船なども停泊することがあり、これは北条湾に漁港を作る際に海底を人工的に掘った可能性もありますが、大型の漁船が入って来られるレベルでの水深はあり、決して浅い湾ではありません。
こういうことから言えるのは、かなりの量の海水が北条湾内にはあり、この海水を動かすレベルの水の流れは近くに存在せず、海水が淀み易く常に滞留していることがお分かり頂けると思います。
唯一日常的に海水を動かすことは、日々行われる潮汐の変化での海水の動きだけですので、潮回りが小潮以下の時、且つ天候が穏やかな日や、そういう日が続くとほとんど北条湾内の海水は動きません。
また、潮回りは関係なく干潮に向かって潮が動いている時、満潮に向かって潮が動いている時、更に風速や川からの水の流入量などによって湾内の潮の流れ方も、その時々で変化します。
ウキを使ったり、アミコマセなどを一摘み投げ入れてみると、その時どの方向に潮が動いているのか分かりますが、湾内の潮の流れは全て同じ方向に流れることはなく、中心部と岸壁の縁では逆の流れ方をします。
あくまで湾ですので、最終的には行き止まりになります。
そこに向かって勢い良く水を押し流せば、中心付近は湾の奥に向かって流れていきますが、行き止まりまで行った水は跳ね返り入口の方に向かって逆に流れて来ます。
良く砂浜などで起こる離岸流の流れと理屈は一緒で、表面的には同じように見えても湾の中では北条湾の深部に流れて行こうとする海水の流れと、北条湾の入口の方へ向かおうとする相反する流れが、強弱はあるものの常に存在します。
こういった北条湾独特の地形や、湾の深部に川が流れ込んでいない釣り場では、ここまで海水の流れを意識しなくても問題ありませんが、北条湾の場合はこれが曲者なんです。
そもそも、北条湾という釣り場は青魚達にとってはあまり好ましい場所ではありません。
川からの真水の流入で、塩分濃度が変わったり、酷いと真水と海水が分離することもあります。
青魚達は汽水域は嫌いますので、通常であれば好き好んでこんな場所にやって来ません。
また、降雨時や降雨直後は、時期や状況によっては極端に一気に海水の温度が低下してしまいます。
根魚などのように、適応出来る海水の温度範囲も広くはなく、海水の温度変化が激しい場所も嫌います。
潮通しが悪い場所も、通常であれば青魚達は嫌います。
もっと言えば、フィッシュイーターなどの、大型の肉食魚にでも見つかれば、潜水艦が湾などに入らない理由と同じですが、湾の幅は狭く逃げるには縦方向にしか逃げられないので、あっと言う間に追い込まれ、自らが食べられてしまう可能性もあります。
ではなぜ、そんなリスクを冒してまで北条湾内に青魚達は入って来るのか…
これは、圧倒的に他の釣り場より青魚達のエサが豊富なんです。
北条湾の深部の川からは有機物がもたらされます。
この有機物を食べ、植物プランクトンがたくさん増殖します。
増えた植物プランクトンを求めて、今度は動物プランクトンが集まります。
この動物プランクトンを求めて、青魚達はリスクは承知の上で北条湾へやって来ます。
プランクトンは泳ぐ…というより、動くに近い動きしか出来ませんので、自ら泳いで北条湾内を行ったり来たり出来ません。
ほとんど水(海水)の流れに身を任せている状態です。
そして、海水が淀み易く滞留し易い湾…ということは、プランクトン達は北条湾内で大量に発生したとしても、北条湾内に大半のプランクトンが留まります。
また、北条湾は水が澄んでいることが多く、こういったことも光合成を行わなければならない、植物プランクトンが増殖し易い環境にあると言えます。
北条湾内の潮の流れを先ほど解説させて頂きましたが、プランクトンは海水の流れと共に移動しますので、この湾内の潮の流れを読むとどの辺りに青魚の群れが集まり易いかを読めるようになってきます。
大潮の時などは、干満問わず潮が動いている時は、湾内に潮目が出来ます。
その潮目を見て、どこからどういう風に湾内を潮が流れているのかを読み、釣り座に余裕がある場合は、そういったことを根拠に釣り座を決める…ということも大事です。
ちなみに、私がほぼ毎回同じような場所でしか釣りをしないのは、単に暗い時間帯にライブ配信が出来るか出来ないかで決めています。
釣れても釣れなくても、その時々の北条湾の様子や状況をライブでお伝え出来れば…と、釣果は二の次で釣り座を決めています。
実際に漁船一隻の距離で、私のところまで青魚の群れが回って来ず、隣の釣り人はたくさん釣れているのに、私は全く釣れない…ということも何度もあります。
概ね、地形的な要点はこんな感じです。
実際に北条湾で釣りをする上での要点ですが、私は良く北条湾で釣りをする際に撒き餌は撒くな…と申し上げていますが、これは北条湾だからであり、北条湾以外の場所でサビキ釣りをするのであれば撒き餌は必須です。
普通の釣り場の場合は、海にも川のように潮の流れがありますので、小まめに撒き餌は撒かないと、自分の釣りが出来る範囲に魚を寄せることは出来ません。
しかし、北条湾の場合は、先ほども申し上げましたように、海水が淀み易い場所なので潮通しは非常に悪いです。
大量に撒き餌を撒くと、流されることなく、ほぼ真下にどんどん沈んでいきます。
こうなると、ガッツリ根魚が寄ってしまい釣りにならなくなったり、理想は自らのサビキ仕掛けを目掛けて青魚が寄って来ることですが、わざわざ自らのサビキ仕掛け以外の選択肢を青魚達に提供していることになり、サビキ仕掛けを食う確率を自ら下げていることになり、結果的に釣れる確率を自分でどんどん下げていることになります。
トリックサビキなどをアミコマセのブロックの中に潜らせて、仕掛けを海中に落としておくだけで十分撒き餌の効果は得られます。
サビキ釣りはアミコマセの臭いで魚を寄せ、青魚の反射を利用して魚を釣る釣りです。
魚の嗅覚は人間の数百倍あると言われており、所謂鼻以外にも身体で臭いを感じる器官を持っている種など、かなり少ない量で充分臭いを感じ取れています。
余談ですが、魚は視力も良くほぼ360度見渡すように視界があり物を見ています。
カーブミラーなどに多い、見渡せる範囲を広くしたレンズやミラーのことを魚眼レンズと言うのはご存じかと思いますが、魚の目の仕組みを応用したものです。
北条湾という釣り場だから意識しておく要点はこんなところかと思います。
実際の釣り方に関してのポイントはこちら(前回の釣行記事)の記事を参考にしてみて下さい。
偶然の産物…というヤツですが、かなり奇跡的な偶然が重なり、且つそれが上がり続ける海水温の影響ともマッチして、今の北条湾という場所で青魚がたくさん釣れているということです。
私が子供の頃の北条湾と言えば、正直申し上げて魚が釣れないイメージでした。
夏に少しサビキで何かが釣れる…そんな程度で足繁く通おうとは思いませんでした。
それが、海水温の上昇と共に、青魚が耐えられないレベルまで海水温が下がらなくなったことと、豊富なプランクトンのお蔭でサビキ釣りのメッカと今はなりました。
そして、この青魚の群れを求めてフィッシュイーターである、イカや青物、シーバス、カマスなど肉食魚などが集まり続けている…まさに⇐今ココ状態で、これからも青魚達が集まる限りは続くと思います。
多くの魚が集まる釣り場であり、夜間は街灯、車を停めるスペース、ビギナーやご家族連れでの釣りにもってこいな釣り場なんですが、そうは問屋が卸さない…という感じで、一癖、二癖もあり、魚の活性が高い時は簡単に釣れますが、理由は何にせよ魚の活性が上がりにくい、上がらない時は悲惨な釣果になる釣り場でもあります。
フィッシュイーターを狙う際も同様で、泳がせ釣りなどで活餌を買って持って来る場合は別ですが、現地調達の場合はそもそも活餌が釣れない…という状況にもなります。
サビキ釣りもフィッシュイーターを狙う際も、製氷所の前や横、北条湾の入口付近の釣り座が安パイで、北条湾の奥に行けば行くほど、リスクとなる要素も高くなります。
私が釣りを良くする場所の利点としては、北条湾の中ですので、青魚でも青物でも行動範囲が限られ回遊頻度が高くなり、魚を足下に寄せ易いのですが、釣り方を間違えると全く釣れない…という状況に陥ります。
この辺の釣り方の注意点については、先ほども申し上げました前回の釣行記事をご覧下さい。
最終的には、机上で情報だけ集めても釣りは上手になりません。
やはり経験に勝るものはなく、北条湾で釣りをする場合は、今回お話しした点をご留意頂き、ご自身で試行錯誤することが釣れる釣り師になる一番の近道だと思います。
9月~11月頃までが、釣りにおいては一年で一番多くの魚種も釣れ、魚のサイズも大きなものが釣れる時期です。
まさに真っ最中なので、今年はどんな大物と格闘出来るのか楽しみでなりません。
最後まで、お読み頂きありがとうございました。
皆様の少しでもお役に立てれば光栄です。
また、釣果等ご報告させて頂きます。

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